性犯罪防止 新たな制度疑問

 子どもをわいせつ被害から守るため、日本版DBSという制度が政府で検討されている。過去に性犯罪歴がある人は、保育や教育などの仕事に就けないようにするという仕組みである。

 「保育園や学校が安全な場であってほしい」というのは、保護者共通の願いである。子どもへの性加害はあってはならない。

 しかし、こども家庭庁の有識者会議の資料を見る限り、このシステムには必要性がないようだ。既にDBSと同様の犯罪歴照会制度を導入している韓国、フランス、英国、米国、ドイツは、性暴力発生件数が日本に比べて桁違いに多く、しかも増加傾向にあるのだから。

 むしろ、導入していない日本の方が減少している。なぜ、あえて発生件数の多い国のまねをしようとするのか。理屈が通らない。

 性犯罪の再犯率が特に高いわけではない。第一、再犯より初犯を防いでほしい。DBSという大がかりなシステムをつくらずとも、迷惑行為防止条例の厳罰化の方が有効ではないだろうか。

2023/10/25 山陰中央新報掲載

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