G7広島サミットの前月、私は広島平和記念資料館を訪ねた。原爆で亡くなる前の小学生たちの記念写真などを見て、私は涙を禁じ得なかった。
G7各国首脳が資料館を訪れた際の滞在時間が短いと批判する声もあるが、短時間の滞在であっても悲惨さは伝わったと思う。核兵器廃絶や戦争の抑止につながることを期待したい。
しかし、一方でこうも思う。被害者としての面を強調するだけでいいのだろうかと。
広島県には、加害者としての日本を伝える毒ガス資料館(大久野島)もある。私はそこで毒ガス製造に使用された器具、毒ガスを浴びた人の写真などを見て、強い衝撃を受けると同時に、中国の人に対して大変申し訳ない気持ちになった。
被害の資料と加害の資料、両方に共通することがある。犠牲者の多くは末端の兵士や武器を持たぬ市民であるということだ。被害と加害の両方を避けることが、今を生きる私たちに課せられた責任だと思う。
2023/6/19 山陰中央新報掲載
こだま 被害と加害ない世界に責務 | 山陰中央新報デジタル
出雲市 長島 和孝 49歳 G7広島サミットの前月、私は広島平和記念資料館を訪ねた。原爆で亡くなる前の小学生たちの記念写真などを見て、私は涙を禁じ得なかった。 G7各国首脳が資料館を訪…