平和への思い・決死の遺書 自らの使命問う

 先日、鹿児島県の知覧特攻平和会館を訪ねました。祖父が兵役に就き、訓練を受けていた鹿児島の地とその時代を深く知りたいと思ったからです。

 そこには残存する特攻機や軍服とともに、たくさんの遺書が展示されていました。出撃すれば生きて帰ることができない特攻兵は、その前に必ず遺書を書き残していたのです。

 「一撃必殺」と荒ぶる若い兵士もいれば、読みたかった本のリストを残す兵士もいました。好んで死にたがる者ばかりではありません。「生まれ変わったら鳥になりたい」と書いた兵士は、鳥になれたでしょうか。戦争の終盤、教官であった中年の兵士も出撃しました。愛する妻と幼いわが子を思いやる遺書を残して。

 私の祖父は、けがのため軍を離れて島根に戻ったので、遺書を書くことがありませんでした。今、私が生きているのは運でしかありません。亡くなった兵士の言葉を胸に抱きながら、自分にできることを考えています。

2023/8/10 山陰中央新報掲載

こだま/平和への思い・決死の遺書 自らの使命問う | 山陰中央新報デジタル
出雲市    長島 和孝 49歳  先日、鹿児島県の知覧特攻平和会館を訪ねました。祖父が兵役に就き、訓練を受けていた鹿児島の地とその時代を深く知りたいと思ったからです。  そこには残存する特攻機…
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